時計仕掛けのアボカド

出会った映画や音楽、漫画、本などについて語ります(*^^*)

映画『ルーム(room)』観てまいりました。

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今年度アカデミー賞の主演女優賞!

話題の『ルーム』です。最近日本でも、女子中学生が大学生に監禁された事件がニュースになり、テレビを騒がせていましたが、 無事に逃げてくれて良かった……! 

ネタバレふくみます。大丈夫な方は下へ(^^)


あらすじ

エマ・ドナヒューの小説「部屋」を、『FRANK -フランク-』などのレニー・アブラハムソン監督が映画化。7年間も密室に監禁された女性が、そこで生まれ育った5歳の息子のため命懸けで脱出に挑み、長い間世間から隔絶されていた彼らが社会に適応していく過程を描く。主演は、『ショート・ターム』などのブリー・ラーソン。生まれて初めて外の世界に触れた息子の戸惑いを、子役のジェイコブ・トレンブレイがみずみずしく演じる。

施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。

(http://movies.yahoo.co.jp/movie/ルーム/355360/より)









  映画のはじまりから監禁状態の閉塞感がスクリーンから伝わってきます。映像全体が暗くて、物語の季節が冬ということもあってか、冷たい。 そんな中、5歳になった無邪気な男の子の高い声が響きます。
 
 ジャックは、母親のジョイが誘拐された後に、閉じ込められた部屋で生まれ、育った男の子です。父親は、誘拐犯。
 監禁されている部屋には、ベッドや洗面所、台所からトイレまであるのですが、ジャックはそれらひとつひとつに、「おはよう」と言います。 


 ジャックにとっては、「部屋」が「世界」。この映画はそんな男の子の目線で話が進みます。


 映画評論家の町山智浩さんもおっしゃられていましたが、この映画は、いわゆる脱出劇ではありません。
 脱出劇、つまり困難な状況から脱出するところで物語が終わり、「助かってよかった!」と感極まらざるをえない、といったところでしょうか。
「終わり良ければ全てよし」というと極端になってしまいますが、この手の映画は観終わった後、ものすごく気持ちがいいので、わたくしはもちろん、好き!という人は多いはず。とても人気のあるタイプの映画だと思います。(『ゼロ・グラビティ』オススメです‼︎)


しかし、この映画は、途中でそのクライマックスがきます。とはいっても、この映画のポイントはそことは少し、違うかなと感じましたので、その話はまた後ほど(^^)


だいたいの映画の流れは以下の通りです。




●ジョイとジャックの日常……ここで、2人のやり取りがなされ、誘拐犯である男の最低ぶりが(言い過ぎではない!>_<)わかります。
 ジャックが成長し、モノがわかるようになったので、2人でならできるかもしれないと思ったジョイは、ある脱出作戦を思いつきます。戸惑いながらもジャックは母親の言うとおりにします。


●  脱出………ここはもう、ハラハラものです! 最初は誘拐犯がなかなか都合よく動いてくれるのですが、、、。
 作戦がどういうものだったのかの説明は割合させていただきますが、簡単に言うと、ジョイはジャックに全てを託したのです。


●普通の日常………ここからが、この映画の見どころではないでしょうか! 元の日常を夢見てきたはずなのに、『部屋』と『世間』とのギャップが2人を苦しめ、幸せを感じることができないもどかしさ。ジョイはそれに耐えきれず、とうとう倒れてしまいます。



 以上のようにまとめてみました。

先ほど書いたように、この映画はジャック目線で話が進むのですが、ゆえに、部屋から出るシーンなんかはものすごくハラハラするんですよ! 全ての風景、建物、人、彼にとっては初めて見るものです。それがスクリーンから伝わってきます………


 というか、5歳児をいきなり慣れない環境に送り出して助けを呼べだなんて、難易度高すぎる笑 助けを求める余裕なんてあるわけない! というのはどうでもいいとして、とりわけジャックにとっての『普通の幸せ』はあの監禁されていた納屋(部屋)の中であって、外の世界ではないわけです。いちばん不幸なのはやはりジョイ。『普通の幸せ』を奪われてしまったのですから。

 

 

救出され、世間をひと騒がせしたところで、あるニュース番組のアナウンサーがインタビューでジョイに、


「子どもだけでも助けてあげたほうが、あの子の将来のためになったんじゃないの?」


『世間』の常識をおしつけてしまう、このシーンは印象的でした。


 確かに正しい。その言い分は正しいと思います。子どもを愛しているのなら、子どもの幸せを願うでしょ?と。


 しかし、ジョイはひとりぼっちで閉じ込められ、男に酷いことをされたり言われたりして何年も暮らしてきました。彼女は、冷静で強い大人ではなく、普通の女の子です。

 暗いところで、どんなに心細かったことか………そして、どんなにジャックの存在に救われていたことか。

 

 ああいった監禁状態にいては、精神はもはや正常ではいられません。「なんで子どもだけでも出してやらなかったの?」「なんで逃げなかったの?」というような問いかけは、普通である人間の価値観の押し付けでしかなく、ジョイを孤独にし、傷つけます。そして、自分を責めてしまうことでしょう。(おそらく、それで倒れてしまった。)


 部屋から解放されたけど、心はまだ………。


一方ジャックは、お母さんが倒れてしまったのをきっかけに、長髪をカット。男の子らしくなりました。そして、病院に運ばれたお母さんに、切った髪の毛を渡して欲しいと言います。


「髪にはパワーがあるから、お母さんにパワーを届けてあげる」

 長かった髪を切るのをずっと拒んでいたジャックにとって、これは心のなかの『部屋』から踏み出すというメタファー、それが、お母さんを助けたいという思いがトリガーとなっていることで、ジャックの決意と2人の愛が印象づけられました。


 この映画は、部屋から出られてハッピー、ということではなく、部屋から出て、普通の幸せを得なければならないその過程もまた大変なんだということを言いたいのですね。

 

 最後にジャックが、「あの部屋をもう一度みたい」といいます。そして、2人でみにいく場面があるのですが、部屋(外観は納屋でです)を目にして第一声が「小さい!」(すみません汗 セリフがうろ覚えなのですが、そういったニュアンスのことを言います)。

このシーンは、 ジャックが外の世界へでて成長したということを表していますね。



そして冒頭、部屋のもの1つ1つに「さようなら」といいます。 ジャックにうながされて、ジョイも。


 そして、2人は部屋を後にして、歩きはじめます。


 ここできっと、心も『部屋』から出る一歩を踏み出したのでしょう。

 ここで、物語は終わります。


 辛いこともあるけれど、幸せになる勇気を持とう、と胸が熱くなる、そんなエンディングでした。




 余談ですが、ジャック役の子役の活躍もあって、『子役映画』というようにもみられているそうですよ。好きな方はそれを見きっかけにみてみるのもいいですね。『パリ、テキサス』とかもいいかも。 子どもが出てくる映画の子どもって、どこかしら『イノセンス』の象徴としてでてきますよね。それが何かと涙を誘うトリガーとなったり。自分の子ども自体と重ねて、ノスタルジックになってみたり……… 






 以上で『ルーム』のネタバレ感想を終わります。読んでくださってありがとうございました。